とび色の誘惑

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風景印とは?

風景印の例風景印は、正式名称を「風景入通信日付印(ふうけいいりつうしんにっぷいん)」といい、郵便局で使用される消印のひとつ。風景スタンプなどと呼ばれることもあります。直径36mmの印面には、使用される郵便局周辺の風景や名所などが描かれています。

円形が基本ですが、中には工夫を凝らした形(変形印と呼ばれます)もあり、コレクションに楽しさを加えてくれます。

変形印の例

さまざまな形の風景印

……と説明してしまえばそれだけなのですが、残念ながら一般への認知度は低いと言わざるを得ず、ほとんどの人はその存在も名前も聞いたことがないというのが実情でしょう。

消印というのは「郵便切手・葉書、印紙・証紙などが使用済みであることを示すために押す印(大辞林)」です。そのため、駅スタンプや観光地の記念スタンプなどとはまったく性質が異なり、風景印を集めるためにはちょっとしたきまりを知っておく必要があります。

そこで、どうすれば風景印を押してもらえるのかを、ざっとご説明しましょう。

風景印はどこにある?

熊本県庁内郵便局の風景印にはくまモンが登場風景印は郵便局の消印ですが、どの郵便局にでもあるというわけではありません。現在営業中の郵便局は24,202局(平成26年12月31日時点)で、そのうち風景印が配備されているのは、約11,000局です。

どこの郵便局にどんな風景印があるのかを調べるには、市販の風景印カタログを使います。ネットで検索してもそれなりに情報は得られますが、すべてを網羅したリストのようなものはありません。

風景印のカタログについて詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

詳細風景印のカタログ『風景スタンプ集』とは

風景印が配備されている郵便局の郵便窓口へ行って押印してもらうものですので、基本的には、郵便局がやっているときしか押印できません。郵便局の営業時間はほとんどが平日9:00~17:00ですから、土日休みのサラリーマンなどにとっては、なかなか集めにくいものです。

なお、大きな郵便局なら土日も営業しているところがあります。また、そうした大きな郵便局にある「ゆうゆう窓口」(時間外窓口)でも、郵便窓口の営業時間外なら押印可能です。ゆうゆう窓口の中には24時間営業のところもあり、深夜でも押印してもらえます(本来は19時までのようですが、私の経験では、そのように言われたことや断られたことはありません)。

参考郵便局の営業時間や地図を調べるにはこちら(日本郵政のホームページ)

郵便局に行く前の準備

風景印を押してもらうには、基本的に次のいずれかを準備する必要があります。

  • 料額印面52円の通常はがき
  • 合計52円以上の切手を貼った台紙等

もっともオーソドックスなのは、52円の通常はがき(昔の言い方だと「官製はがき」)に押してもらう方法。郵便窓口ではがきを購入し「これに風景印を押してください」とお願いするだけです。通常はがき以外でも、合計52円以上の切手が貼ってありさえすれば、集印帳やノート、名刺カード、木の板など、たいていのものには押してくれます。

大宮JPビル内郵便局の風景印

52円はがきへ押印するのが、もっともオーソドックスな風景印の集め方

また、たとえば20円+30円+2円切手といったように、複数の切手を組み合わせて合計52円以上にすれば、52円切手1枚でなくてもOK。もちろん、過去に発行された記念切手なども使えます。風景印に描かれた図案と切手の図案とを合わせるなど、いろいろと工夫するのも楽しいですね。

風景印と切手とのマッチング

風景印と切手の図案を合わせるといった楽しみ方も

自分で押せない風景印

風景印は公印であり、局員さんが押印するきまりになっています。つまり、自分で押すことはできません

たまに、「ご自身で押されますか?」と局員さんから聞かれることがありますが、そういう場合は自分で押しても問題ありません。ただしこれはあくまでも応対してくれる局員さんの判断で押させてもらえるのであって、最初から「自分で押させろ」というのはルール違反です。

こうして、押印は局員さんに委ねることになるわけですが、インクがかすれたり、曲がったり、思い通りの仕上がりにならないことも少なくありません。人間が押すんだから失敗もあるさ、くらいに考え、あまり完璧を求めすぎないほうがよいでしょう。

消印は風景印の一部が切手や料額印面にかかっていることが最低条件です。それさえしていれば、切手の上でも下でも場所は自由に指定することができます。

「どこに押しますか?」と聞いてくれることが多いですが、意図しない場所へ押されてしまうこともあるので、希望は自分から伝えたほうがよいでしょう。たとえば通常はがきに押す場合は「(料額印面の)右下角に少しかかるように」するのが一般的です。

引受消印と記念押印

消印ですから、郵便物に押すのが本来の目的で、これを「引受消印(ひきうけしょういん)」といいます。旅先からの手紙や絵はがきに風景印を押して差し出す、なんていうことができるわけですね。

いっぽう、コレクションとして風景印を集める場合、たいていは郵便として差し出さずに持ち帰ることになりますが、これを「記念押印(きねんおういん)」といいます。もっとも、いちいち「記念押印お願いします」などと言わなくても大丈夫です。

記念押印(左)と引受消印(右)の例

記念押印(左)と引受消印(右)の例

引受消印も記念押印も、押してもらえる条件は同じですが、引受消印の場合は、その郵便物に必要な郵便料金以上の切手等が必要です。

なお、引受消印でお願いする際には、風景印を押すための十分なスペースをあけて宛名を書くのがポイント。住所や宛名など、記載事項の上には押印できないきまりがあり、スペースがないと、希望の位置に押してもらえませんので注意しましょう。

「郵頼」を利用して集める

ところで、風景印は「基本的には、郵便局がやっているときしか押印できません」と書いたのですが、郵便局へ行かずに集める「郵頼(ゆうらい)」という方法があります。

郵頼は、押印したい風景印がある郵便局に、郵便で押印の依頼ができるという郵趣家向けのサービスです。具体的には、次のものを用意して郵便局へ郵送すれば、風景印を押して返送してくれます。実費のみで、手数料などはかかりません。

  1. 押印の依頼内容、依頼人の住所、氏名、電話番号を明記した依頼書
  2. 押印するはがきや切手を貼った台紙等
  3. 返信用封筒(返信にかかる料金相当の切手を貼付)

なお、送付する封筒には「風景印押印依頼」などと朱書するとよいでしょう。依頼内容で、押印してほしい日付などの指定も可能です。

この方法なら、休暇を取らなければ行けないような遠方の郵便局の風景印も集めることができますので、必要に応じて利用してみてはいかがでしょうか。

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公開日:
最終更新日:2015/10/05