白井郵便局の風景印(千葉県白井市)
歴史と都市問題に梨が誘う変形印
【使用期間】平成25(2013)年3月14日~
【図案説明】 梨の輪郭に、梨の花と千葉県指定文化財「小金牧の牧土資料」の陣笠、野羽織、野袴を描き、北総鉄道7500形電車を配す
千葉県白井市・白井(しろい)郵便局の風景印です。
白井市、と聞いてどのあたりかすぐにわかる人はそう多くないと思いますが、千葉県の北西部に位置し、南に船橋市、北に柏市など5つの市に接しています。
平成13(2001)年に市制を施行したばかりの比較的新しい市で、それまでは白井町でした。
いわゆる「都心から30km圏」内なので、私の住んでいる町田市や、大宮市、千葉市、横浜市などと距離感は同じですね。
図案の輪郭を見れば一目瞭然ですが、白井市の特産品は梨。
千葉県は日本梨の栽培面積、収穫量、産出額ともに日本一で、なかでも白井市は県内第一位の栽培面積だそうです。
風景印で鉄道車両が描かれる場合、普通は、実車を正確に描くというより、車両のイメージを描くことが多いですが、この図案では「7500形(がた)」とかなり具体的です。
車両を限定してしまうと、この車両が使われなくなったときに図案を変更しなければならなくなるデメリットもありそうなのですがどうでしょうか。
さて、この北総鉄道、私などは「北総開発鉄道」「北総・公団線」といったほうがイメージがわきます。
一部区間を、当時の住宅・都市整備公団(現在の都市再生機構)が建設したためそんな名前だったのですが、鉄道を敷いてニュータウンを造成するなんてことを国がやっていた時代だったのですね。
そうした後遺症なのかわかりませんが、北総鉄道は運賃がかなり高いことで知られています。
たとえば、JR山手線の日暮里駅から白井駅までの運賃は、28.4kmで900円。京成電鉄の初乗り運賃も加算されていて割高とはいえ、都心を往復すると1,800円ということになるわけです。
いっぽう、私が利用している小田急線の場合、新宿~町田の運賃は、30.8kmで360円。往復でも720円ですから、いかに北総線沿線の人が高額な鉄道運賃を支払っているかがわかりますね。
「財布落としても定期落とすな」という言葉まであるそうで、運賃が高すぎて裁判にもなるほど、沿線住民にとっとは深刻な問題です。
「小金牧」は、江戸幕府が軍馬育成のために設置した「牧」(まき)の一つで、現在の白井市域を含む南北に広がっていました。
「牧士」(もくし)は、牧の管理を担当していた役人で、風景印に描かれた「陣笠」「野羽織」「野袴」は、その牧士が身に着けていた衣服ということになります。
図案では小さくてよくわかりませんが、白井市のホームページに図案の元となったと思われる画像がありましたので、ご覧になってみてください。
牧について調べてみると、この地域の成り立ちや地名などに深く関わっているようで、かなり面白そうなのですが、ここまでにしておきます。
旧図案
【使用期間】平成13(2001)年4月1日~平成25(2013)年3月13日
【図案説明】梨の輪郭に、重文・滝田家住宅と千葉ニュータウン、北総開発鉄道の車両を描く
旧図案にも同じく鉄道車両が描かれていました。
このころはまだ北総開発鉄道で、新図案とは対照的に図案化された車両ですが、前面形状からすると、おそらく9100形を描いたものではないでしょうか。
こちらの図案も梨の形を輪郭とした変形印ですが、梨の雰囲気がいくぶんほんわかしていますね。
「滝田家住宅」は、300年以上も前に建てられた古民家で、現在も住居として使われているのだそうです。
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