京都太秦朱雀郵便局の風景印(京都府京都市)

- 使用期間
- 昭和58(1983)年2月23日~
- 図案説明
- 広隆寺講堂と弥勒菩薩像を描く
京都府京都市右京区・京都太秦朱雀(きょうとうずまさすじゃく)郵便局の風景印です。
京都は難読地名が多いですが、太秦朱雀もなかなかのレベルです。朱雀は「すざく」と読むものと思っていましたが、ここは「すじゃく」なのですね。太秦は有名な東映の映画村があるので「うずまさ」と読める人が多いでしょう。
朱雀大路からはずれているこのあたりがなぜ「朱雀」なのかなと思いましたが、京都の地名はそれだけで学問になるくらいですから、素人がちょっとネットで調べた程度では、わかる由もありません。もっとも、周辺にはそのような地名から想像するような情趣があるわけでもなく、たんなる住宅密集地です。
いかにも古都らしい「寺社+仏像」図案。京都最古の寺である広隆寺と、国宝指定第1号の弥勒菩薩像という組み合わせは、絵にならないはずがありません。この風景印には、絶対に国宝シリーズの切手を合わせたくて、事前に準備していきました。

この風景印に合わせたかった国宝シリーズ切手。15円なので4枚貼っています(この右側に2枚)【使用切手】広隆寺弥勒菩薩(国宝シリーズ第1集/昭和42年発行)
国宝の登録名は「木造弥勒菩薩半跏(はんか)像」。あまりにも有名で今さら私が説明するまでもありませんが、飛鳥時代、広隆寺創建当時に製作されたものだといいます。弥勒菩薩像をはじめ、いろいろな仏像は、霊宝殿に安置されています。建物の中へ入ると一瞬真っ暗に思えますが、目が慣れてくるにつれ、ゆっくりと菩薩様が見えてきます。
独特のポーズから、半跏思惟(しい)像とも呼ばれます。「半跏」は、片足をもう一方の足に乗せる座法(半跏趺坐)。「思惟」は「(物事の根本を)心で深く考えること」(岩波国語辞典第七版)で、右手を軽く頬に当てて、思索に耽っている姿が印象的です。
切手を集めていた子どものころから、私はこの弥勒菩薩像にずっと憧れていて、このときようやく念願かなってお目にかかれたのでした。その場を立ち去りがたく、しばらく菩薩様の前に立ちつくしていましたが、私よりももっと長く、身じろぎもせずじっと見つめている方もいました。
それにしても、1,400年以上もよく残ったものです。このご本尊を残すためにあらゆる人々が払ってきた努力、苦労は想像を超えています。

周囲は住宅地、局名から想像するような風景はとくになかった

弥勒菩薩像のある広隆寺境内(写真の建物は本堂)
京都太秦朱雀郵便局の地図
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