新潟本町十三番郵便局の風景印(新潟県新潟市)
知らない歴史を教えてくれる、風景印の真骨頂
【使用期間】平成25(2013)年2月1日~
【図案説明】新潟市文化財旧小澤家住宅と日和山住吉神社を描き、北前船を配す
【使用切手】千石船(船シリーズ第3集)/昭和51年発行
新潟県新潟市・新潟本町十三番(にいがたほんちょうじゅうさんばん)郵便局の風景印です。
日本海と信濃川、関屋分水路に囲まれた通称「新潟島」の東部に位置する当郵便局周辺には、東湊町通、西湊町通、東堀通、西堀通、船場町、入船町、艀川口町、附船町、浮洲町、船見町などなど、「船」や「港」を連想させる地名がずらりと並んでいます。
というのも、この地域が北前船の重要な寄港地として栄えてきたから。
かつては数多くの廻船問屋や商家が軒を連ねており、図案に描かれた「旧小澤家住宅」の小澤家もその一つ。
江戸時代後期の米穀商にはじまり、運送・倉庫業、廻米問屋、石油商などの多角経営を行い、新潟を代表する商家の一つとして名を馳せました。
往時の姿をよく残したこの屋敷は、平成14年に新潟市へ寄贈、その後新潟市の文化財として登録され、現在は「北前船の時代館」として見学できます。
「日和山住吉神社」は、日本海を望む小高い丘に建つ神社。この丘の上から、船が安全に運行できるよう水先案内をしていたのだといいます。
かの与謝野鉄幹が、この地を訪れてこんな歌を詠んだそうです。
橋あまた柳のなかに隠されて水ある街の夕月夜かな
この新潟島には、かつて堀が張り巡らされ、水運が発達していました。明治の初めには、そうした堀に133本もの橋が架けられていたといい、そうした風景が歌人の心をとらえたのでしょう。
しかしそうした景観も、戦後の経済成長でしだいに疎まれ、昭和39年の新潟国体を機に、すべて埋め立てられてしまいました。
ただ、その際に街区の変更まではせず、堀をそのまま道路としたため、現在も堀の跡をたどることは可能です。
新潟市内にはこれといった見どころがないものと勝手に思っていたのですが、古い町家や小路もたくさん残っていて、ぜひゆっくり巡ってみたいと思わせます。
風景印がなければ、これから先も知らなかったわけで、これぞ風景印の真骨頂!とうれしくなってしまうのです。
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Comment
素晴らしい! 地名はその土地の過去を語る宝、文化財だ。一見めでたそうな名前に変えたがる傾向にカツッ! 風景印のデザインもきれいです。新潟、そのうちにお邪魔したいなと思います。